特別名勝 日本三景 天橋立
  
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天橋立を守る会
事務局 (社)天橋立観光協会内
〒626-0001
京都府宮津市字文珠314-2
  天橋立ターミナルセンター内
電話:0772-22-8030
FAX:0772-22-8710

郷土の誇り、私たちの財産 「天橋立」その環境を守る毎日の美化活動と実態報告書
 
神の世に神のかよひしあとなれや雲井につづく天橋立
天橋立・天橋・大垣海岸の漂着ゴミと、舟越の清掃状況について【最新版】

≪期間≫
平成11年9月〜平成23年9月
(現在も継続中)

天橋立・船越付近の毎日のボランティア清掃報告です。


で囲んだ場所が現地です
 
≪清掃の目的≫
 阿蘇海、与謝の海、天橋立及びその周辺の構造物に至るまで地球温暖化にともなう酸性状態からの脱却、環境の健全化を目指し活動しています。ひいては世界遺産登録の基盤となると共に、名実ともに白砂青松の天橋立を後世へと残すよう懸命に取り組んでいます。
 
≪概 要≫
 宮津市天橋地区のだんご川海岸(阿蘇海)は、野田川(倉梯川)、男山川、真名井川、大橋川、三田川、だんご川などの河川から流れ出るゴミ(自然・人工ゴミ、不法廃棄ゴミ)、それらと一緒に流れてくる汚水(うち83%が生活排水、15%が一部工業廃水)、それに加えて阿蘇海そのものの富栄養化が進み、異常発生したアオサなど、それら全ての漂流ゴミの終点ともいえる所です。

ゴミ自体も以前は自然浄化する可燃ゴミ(藻、葦、流木)が主でしたが、近年では不燃物、ガレキが多く観光地としての景観を阻害するばかりか、気温が高くなると藻類がくさり悪臭が漂い、護岸にはペットの糞なども多く地区民や観光客達が不快な思いをされています。

(10年に及ぶ松林の徹底した美化により改善債向です。下草を刈ることにより土壌が改善され、松の生育に有益なキノコ類も上がってきました。野球場ほどの範囲での活動ですが着実に成果があると感じています)

ただ、問題は漂着ゴミ。驚くべき事にゴミ袋に入ったまま打ち上げられるケ−スもあるのです。以下の写真が現地の様子です。

袋に入ったまま打ち上げられる
袋に入ったまま打ち上げられる
藻が腐り悪臭が漂う
藻が腐り悪臭が漂う
不燃ごみも非常に多い
不燃ごみも非常に多い
大量の葦
大量の葦
近年の分別収集が難しいのか、めんどうなのか、袋に入ったまま捨てられます
 
≪主な漂着ゴミ≫
中身が入ったままの各市町村のゴミ袋、長尺物の葦、葦の根、各種の藻、流木、動物の死骸、公共の標識、ペットボトル、肥料袋、缶類、ビン類、トレー、野菜類、釣りのうき、スーパーのビニール袋、野球ボール、ソフトボール、バレーボール、テニスボール・サッカーボール、オムツ、生理用品、苗のポット、使い捨てライター、アイスクリームの棒、中型冷蔵庫、自動車のタイヤ等 各種靴、工事現場の道具、救命胴衣、各種発泡スチロール、布団など
 
袋には入れる事のできない流木、葦、藻が大量にあり、時折土木事務所に処理をお願いしております。 しかし不法投棄は重大な犯罪である事から行政が中心となり、更なる啓蒙活動と指導をお願いしたく思います。
 
 
 
 
中身が出て袋だけ漂流しているものもありますがほとんどは各自治体のゴミ袋とも中身が入ったままです
通期 467袋
 
以下は平成11年9月〜23年9月までに回収した自然浄化できないゴミの数です。 これも全て回収できているわけではありませんので阿蘇海全体を考えると、実際にはもっと多いとご認識下さい。
  平成
11年
平成
12年
平成
13年
平成
14年
平成
15年
平成
16年
平成
17年
平成
18年
平成
19年
平成
20年
平成
21年
平成
22年
平成
23年
1月   24 55 49 20 23 30 48 27 20 22 8 14
2月   27 20 17 12 31 22 24 17 13 22 8 14
3月   55 73 23 13 19 13 21 31 18 15 11 15
4月   43 17 13 17 41 11 39 14 12 17 26 15
5月   32 17 18 12 35 25 16 32 20 10 14 11
6月   15 12 13 13 28 7 11 19 18 14 8 13
7月   22 18 19 43 24 16 35 26 28 8 19 23
8月   20 33 13 28 17 16 22 32 14 38 23 18
9月 25 33 28 14 17 38 7 7 33 13 6 10 25
10月 40 35 29 30 16 14 14 21 16 26 18 18  
11月 43 18 16 29 11 23 8 19 38 16 11 23  
12月 42 39 8 32 32 20 21 28 38 24 10 13  
  150 363 326 270 234 313 190 291 323 222 191 181 148
※単位は(袋) 13年間 合計3,202袋 
グラフ
 
≪国・府・市・町民の誇り、美しき、超一流ブランド・天橋立≫
一方では、潮の流れはゴミだけではなく綺麗な砂も運んでおり、このような 場所にも「白砂青松」の名の通り大変美しい砂浜ができております。

最近、天橋立は散策を楽しむ観光客が増えており、地元においても地区民のウォーキングや、ペットの散歩をされる方が多くなっております。初冬にはコハクチョウが飛来し、天橋立の美しさに花を添えてくれますし、松越しに見える日の出や夕日、月夜など絵になる風景などなどいわゆる内部景観の保全・整備も大事な要素です。

 
天橋立は地域住民だけではなく、市民、府民、国民の財産と考えます。立派な自然・文化遺産を持つ誇りを忘れてはなりません。それが為にもゴミの無い美しい天橋立にしてゆかねばならないのです。

幸い、小学校などでは授業の一環として環境学習をされており、このゴミの問題にも関心を持って頂いておりますし、マツクイムシ、松枯れの対策も官民一体となった保全活動が少しづつ前に進んでおり、全国のモデル・ケースとなっています。 (平成15年に180本あった松枯も京都府の努力で見事に克服)

また、台風で大被害を受けた松も再生・再活用されるなど保全に向けた動きも加速してきており、喜ばしい限りであります。

こうした明るいニュースもある一方、地球環境の問題をおろそかにしますと、CO2の増大・・・100年先には平均気温は3度も上昇し、海水面は80CM上昇、風速90〜100m/秒クラスの超大型台風の来襲など天橋立の存続に重大な危機が予測されています。

ある太平洋の島は21世紀末を待たずに沈没すると言われています。我々は戦争難民という言葉は聞いていましたが、最近では環境難民という言葉が先行しており、何百万人もの難民が出るといわれております。

しかしながら、京都議定書を締結した我が国の温暖化への取り組みはワースト1という誠に不名誉な状況です。

このような事態を回避する為、今我々に何ができるのか?これを考えた時、身近な問題=天橋立のゴミ問題も地球環境と直結する重大な懸案事項であるとお解り頂けると思います。

天橋立の環境保全は官も民もスクラムを組んでいかねばなりません。天橋立を守る会も小学生、中学生の環境学習の支援に力を入れており、小中学校ごとにクリーン作戦を行って頂いております。近々にはポイ捨て、車の乗入禁止を含む天橋立憲章も考えております。

恒例のクリーン作戦も本年34年を迎え、年々参加人数も増えております。春は1800人、初冬に行う迎春一斉清掃も軌道に乗ってまいりました。 天橋立は共有の財産であり、その値打ちを守り天橋立周辺を含め美しい環境を作っていくことが、地域経済発展につながり、またそのような環境になれば世界文化遺産も後からついてくるものと確信しております。

 
<下草を刈ると庭園のように美しい松並木になるのです>
他にも美化事業や、各種団体による清掃も行われておりますが河川、海水の汚れは82,5%が生活廃水による汚染であります。(産業排水14,3%、その他2,7%) 下水道の完備も含め、排水に対するケアが早急に必要であります。阿蘇海も、よい魚がたくさん取れる豊かな海になるよう願っております。

このように天橋立を美しく守るということは、多くの観光客誘致につながり、ひいては宮津、与謝一帯の経済発展の基盤作りに作用すると信じております。天橋立があってこそ、この地域が成り立っている現状をよく理解しなければなりません。(なにも観光業者だけの利益では無いのです)

先人・先輩たちが守ってくれた財産。名実とも美しい天橋立、後世に誇れる天橋立にする為さらなる市民の深い理解と行動をお願いしたいものです。

天橋立を守る会 会長 森 輝吉